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2015年4月20日月曜日

セッション (2014・米) [8.5/10]

セッション観てきました。いやあ面白かったです。
これは絶対映画館で観なきゃいけない作品ですね、大きいスクリーン、迫力あるサウンドで楽しまなければ価値半減だと思います。

"Whiplash"っていう原題の本作ですが、ジャズをテーマにした映画です。
"whip"は鞭、"lash"は打つって意味なので鞭打ちという意味なのですかね、あまり英語得意ではないですが。
"Whiplash"っていうのは実際にある同じタイトルの曲から取ってるみたいですが、鞭打ちってタイトルはこの映画にはピッタリだと思います。
邦題も"鞭打ち"にしたらよかったんじゃないですかね。

監督はデミアン・チャゼルって人で、長編映画としては監督デビュー作だとか。
監督本人、高校生の時にジャズ・ドラムに打ち込み、この時に出会った厳格な教師が本作の基になっているみたいです。
彼自身はハーバード大学に進学し、ドラムや音楽の道からは距離を置いたみたいですけれど。

そして本作の主人公なんですが、同じように大学でジャズ・ドラムに打ち込む19歳のアンドリューという青年。
そして、そこで出会う厳格な教師がJ・K・シモンズ演じるテレンス・フィッチャーという教師。
とにかくこの教師が厳格この上ない、というかこんな人今時いるのかってくらい感情表現がストレートで、バンドの演奏に不満があるだけで椅子やらドラムやら投げる投げる...そんなフィッチャーを演じるJ・K・シモンズのすべてが素晴らしい。
この映画観たらいやあ当然でしょうと思いますが、彼は第87回アカデミー賞助演男優賞を獲得しています。

また町山さんがこの映画をボクシング映画と評していますが、賛同しますね。
どんなバトル映画よりもバトルしてます、肉弾戦です。
特に演奏シーンはカットを変えずにカメラを動かしてその時々の主役にスポットを当てていたり、手元や口元のアップを多用して演奏の臨場感を高めています。
カメラワークや間の使い方が素晴らしく、指揮者のフィッチャーが手を挙げ、バンドの演奏が始まるまでの10秒弱の静寂・緊張感。
そしてラストの息を飲む10分間。
このラストシーンのためだけに、もう一回映画館に行きたい。

今年公開された映画の中では一番面白いと思っています。
明日バードマン観るので、それを受けてどうなるかわかりませんが。
ジャズ好きな人やジャズ評論家からは酷評されているという話もありますが、劇中の音楽も素晴らしく、15分前にタワレコのオンラインでサントラも注文しました。
とにかく強くオススメする映画です!

2015年4月9日木曜日

ブルージャスミン (2013・米) [7.0/10]

 ものすごい久々に書きます。つまらない映画ブログですが、今後は定期的に書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。

 「マジック・イン・ムーンライト」がそろそろ公開ということで、今回は「ブルージャスミン」を。本作は2013年公開のウディ・アレン監督作品。前作の「ローマでアモーレ」はアレン本人が出演していて、アレン(俳優としての)好きとしては最高だったのだが、今作は残念ながら監督・脚本に従事しているようだ。
 ストーリーはケイト・ブランシェット演じるジャスミンという女性がサンフランシスコにいる義理の妹の家へ転がり込むところから始まる。でまあ、元夫が詐欺師で刑期中に自殺して、ジャスミンは一文無しなんだけど、でも飛行機はファーストクラスに乗ってるしバッグはヴィトンだし、といった具合で自尊心で何とか自分を保ってる感じ。ちなみにこのサンフランシスコの話と、幸せに暮らしていた過去の話が同時進行的に進んでいきます。この辺は町山さんもラジオで言ってたけど、ブルー繋がりで「ブルーバレンタイン」も似たようなテイストですね。そしてジャスミンは新たな第二の人生を始めようとするんだけど、どうしても自尊心を捨てきれずに、現実と自尊心の間のジレンマで崩壊していく姿を描いていく。でもどこか軽いタッチというかブラックコメディというか、前述の「ブルーバレンタイン」は暗くてずっしりした映画だけど、本作はあくまでアレンの映画として、コメディとして、描かれているから面白い。
 アカデミー賞主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェットの演技は圧巻。前述したどこか軽さを感じさせる一つの要因は、アレンの意図を彼女がしっかり演技に落とし込んでいるからだと思う。要所要所にアレンっぽさが滲み出ているシーンもあったり(惚れた腫れたはやっぱりお家芸)して、楽しく観れる一本。