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2015年5月8日金曜日

ワイルド・スピード SKY MISSION (2015・米) [8.5/10]

観てきました、ワイスピ7作目。
超個人的なこのシリーズへの思い入れとかも含め、今年観た映画の中で一番面白かったですね。
2015年観た映画では初めて泣きました。

もう1作目から気がつけば14年経っていて、リアルタイムでちゃんと観ていてるのは3作目のTOKYO DRIFTからですけど、やっぱりポール・ウォーカーが亡くなって、車好きにとってはたまらないこのシリーズが一体今後どうなってしまうんだ、という思いはありましたねあの訃報を聞いたときは。
でも劇中で安易な結論を出さずに、最後までしっかりSKY MISSIONという作品を作りきってくれたスタッフやキャストの皆さんに感謝です。
私はどの立場なんだって話なんですけど...
それに監督がジャスティン・リンからジェームズ・ワンに代わったことも少しばかり不安視していたんですけど、この場を借りて撤回するとともに深く謝罪したいと思います。

ストーリーについてはあまり書きませんが、
前作出てきたオーウェン・ショウっていう悪役(最後輸送機からドムに吹っ飛ばされて重症)の兄であるデッカード・ショウがワイルド・スピードお馴染みのメンバーに復讐をするって話です。
んでこのデッカード・ショウを演じるのがジェイソン・ステイサムで、ますますスクリーンが暑苦しいことになっております。
今回はポールの死を受けてなのか否か分かりませんけれど、ブライアン・オコナーの"普通の家庭の生活に馴染もうとする自分"と"今まで味わったような刺激を求める自分"の間での葛藤が深く描かれています。

ポールが亡くなったあとは、彼の弟2人が代役を務め、CGも駆使しなんとかクランクアップまで辿り着いたようです。
本編が終わった最後にこの映画からポールへの最高のリスペクトと別れが描かれており、涙なしでは観ることができませんでした。
ここで流れるWiz KhalifaのSee You Againは、それまで全米ビルボードのHot100で14週連続首位を獲得したMark RonsonのUptown Funk(超好きです)を首位から引きずり下ろし、現在も4週連続で首位をキープしています。
また全米アルバムチャートでもこの映画のサントラが1位を獲得しており、アルバムとシングルの全米チャートを同時制覇しています。
サントラに参加してるメンツはとにかく豪華で、Hiphop/R&B好きにはたまらない内容になっております。
Iggy Azaleaなんかは劇中にもカメオ出演してましたね。

車にあまり興味がない人や、今までのワイスピシリーズにあまり馴染みがない人も、
この映画は楽しめると思うし、絶対に観るべきです!
今作もしっかり重要な場面でインプレッサやGT-Rなどの日本車が登場するので、かなり胸熱です。
現在興行収入10億ドルを突破しており、また次作の製作もヴィン・ディーゼルから発表されているので、今からでもワイスピ旋風に乗るのは遅くありません!
是非IMAX 3Dの映画館で観ましょう。

2015年5月4日月曜日

マジック・イン・ムーンライト (2014・英、米) [6.5/10]

ウディ・アレンの映画です。
それだけで僕は映画館に観に行きます。
彼の映画はそういうもので、面白いとか面白くないとかそういう範疇を超えて人を惹きつける何かがあると僕は思っています。

今回は珍しくどメジャーな俳優を使っています。
主演は「シングルマン」や「英国王のスピーチ」でお馴染みのコリン・ファース、そして「バードマン」での好演が記憶に新しいエマ・ストーン。
この2人が主人公であり、この2人の物語であります。

お決まりのスタッフロールがオープニングで流れたあとに、1928年ベルリンと字幕が出る。
ただドイツでのシーンはほとんどない。
そのあと主役のマジシャン、スタンリー・クロフォード(コリン・ファース)が友人に誘われ南フランスへと旅立つのだが、これが美しい街並みで、あれまた「ブルージャスミン」すっ飛ばして街ものシリーズに回帰したのかなあ、と考えたり。
ウディ・アレンの映画なんだからラブロマンスでしょうと思っていたら、それっぽい展開に。
友人がスタンリーを南仏に誘った理由が、ソフィー・ベイカー(エマ・ストーン)という霊能力者が富豪の家をめちゃくちゃにしているので、その霊能力のトリックを見破ってほしいというもの。
ところが、このソフィーが綺麗なんですねえ。
そしてスタンリーはソフィーの霊能力の欠陥を見つけようとするんだけど...
っていう話ですね、簡単です。

ただウディ・アレンの映画にしては、いろいろ起きなくて、落ち着いて観れます。
この2人に注目していればいいという、単純明快な話で、割と珍しいと思います彼の映画ではこういうの。
あとこのコリン・ファースがウディ・アレンの生き写しみたいです本当に。
神経質で理屈っぽい感じとか、早口なところとか、身振り手振りを見ていると、これ10年前ならウディ・アレン自分で演じてるんだろうなあと思う役柄です。
でもそれをコリン・ファースがやっているという面白さもあるんだけどね。

見終わったあと言葉では表現できない幸せな気持ちになりました。
これもデートの際に是非観に行くと良い映画かもしれません。

2015年5月3日日曜日

博士と彼女のセオリー (2014・英) [7.5/10]

イギリスの理論物理学者であるスティーブン・ホーキングと、彼の元妻との関係に焦点を当てた伝記映画。
主演はエディ・レッドメインで、彼は第87回アカデミー賞にて主演男優賞を獲得しました。
前評判では「バードマン」のマイケル・キートンがオスカー筆頭候補と言われてたみたいですけど、見事エディ・レッドメインが獲得し、今アカデミー賞で最大のサプライズとなりました。
またフェリシティ・ジョーンズも主演女優賞にノミネートされましたが、惜しくもジュリアン・ムーアに持っていかれましたね。

日本でも講演したことがあり、「車椅子の物理学者」としても知られるホーキング氏。
彼は若い頃に筋萎縮性側索硬化症を患い、やがて体が思うように動かなくなり、ついには言葉を発することもできなくなってしまう。
だが彼はそんな中でも自身の研究に熱を注ぎ込み続け、今でもご健在なのです。

こういった病気を患った方に焦点を当てた伝記映画は、お涙頂戴な構成になりがちなのですが、この映画はホーキング氏を美化しすぎず、ありのままに描いているのがいいですね。
また研究内容に重きを置かず、夫婦の関係性を中心に、ホーキング氏と周りの人との人間関係に重きを置いて映画が作られているのも、この映画の特徴かも。
この点はイミテーション・ゲームとは少し趣が異なるかなあと思うところ。

エディ・レッドメインの演技は卓越しており、後半はほとんど顔の動きや目の動きのみの演技となるんだけど、それでも感情を豊かに表現し、演技で映画にリアリティをもたらしており、本当に素晴らしいです。
もう公開から時間が経っているので、ミニシアターや名画座でしかもうやってないかもですけど、うーんデートにはもってこいな映画じゃないですかね。
心が温まるいい映画でした。

2015年5月1日金曜日

バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡) (2014・米) [8.5/10]

観てから少し時間が経ってしまいましたが、バードマンを。
これまだ観てない人は絶対劇場に行くべきです!

先にアカデミー賞の話をすると、このバードマンは第87回アカデミー賞にて作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞の4部門を受賞。
今回のアカデミー賞の台風の目ですね。
監督はアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、日本では「バベル」が有名ですが個人的には「ビューティフル」ですこの監督といえば。
そして主演は惜しくもオスカー受賞を逃したマイケル・キートン。
この人実際にティム・バートンが撮ったバットマンシリーズで、バットマンを演じているから面白い。
またエドワート・ノートンやエマ・ストーンといった周りを彩る役者の皆さんも豪華。

この映画は過去に"バードマン"として一世を風靡した俳優リーガン・トムソンが主役。
自身が主演・演出を務めるブロードウェイ舞台のプレビュー公演~本公演までの話。
マイケル・キートン自身とも重なると様々んメディアで言われていましたが、一世を風靡した主役のリーガンも今やすっかり落ちぶれたアクション俳優。
そんな彼の過去の栄光や成功への執着、そして新しく生まれ変わり今こそ次への一歩を踏み出すべきという自分との間で、終始葛藤します。

日数でいうと数日間の話なんですが、これがまったく飽きない。
ストーリー展開そのものは秀でて面白い訳じゃないんだけど、この映画は撮り方が独特。
日本だと三谷幸喜監督がワンカットの映画を撮ったりしてますけど、バードマンもワンカットに見える(実際にはそうではない)つくりになっていて、すごく奇妙で画期的。
撮影賞を受賞したのは当然で、こんな映画観たことないという感覚になる。
流石に全編ワンカットではないものの、実際の1カットも非常に長く、俳優陣の演技を存分に堪能できる。

またこの映画は暗喩するような内容も多く、直接スクリーンでは描かれていないものの、観客の解釈にヒントを与える描写は度々登場する。
観終わったあとに一緒に観た友人と各シーンの解釈について話をすると、意見が食い違ったりして面白い限り。
特にラストシーンも(WOWOWでのアカデミー賞生放送の際、寺島しのぶさんのネタバレ発言が話題になったりしましたが...)解釈の余地が残されており、それによりこの映画をどういう映画と結論づけるか変わってくるので、いろんな人と意見交換するとよいかも。

個人的にはエマ・ストーンの演技がかなりツボでした。
ここ何年かのアカデミー賞作品賞受賞作の中ではあまりシリアスでなく、観やすい映画だと思うので、是非チェックしてみてください。

2015年4月20日月曜日

セッション (2014・米) [8.5/10]

セッション観てきました。いやあ面白かったです。
これは絶対映画館で観なきゃいけない作品ですね、大きいスクリーン、迫力あるサウンドで楽しまなければ価値半減だと思います。

"Whiplash"っていう原題の本作ですが、ジャズをテーマにした映画です。
"whip"は鞭、"lash"は打つって意味なので鞭打ちという意味なのですかね、あまり英語得意ではないですが。
"Whiplash"っていうのは実際にある同じタイトルの曲から取ってるみたいですが、鞭打ちってタイトルはこの映画にはピッタリだと思います。
邦題も"鞭打ち"にしたらよかったんじゃないですかね。

監督はデミアン・チャゼルって人で、長編映画としては監督デビュー作だとか。
監督本人、高校生の時にジャズ・ドラムに打ち込み、この時に出会った厳格な教師が本作の基になっているみたいです。
彼自身はハーバード大学に進学し、ドラムや音楽の道からは距離を置いたみたいですけれど。

そして本作の主人公なんですが、同じように大学でジャズ・ドラムに打ち込む19歳のアンドリューという青年。
そして、そこで出会う厳格な教師がJ・K・シモンズ演じるテレンス・フィッチャーという教師。
とにかくこの教師が厳格この上ない、というかこんな人今時いるのかってくらい感情表現がストレートで、バンドの演奏に不満があるだけで椅子やらドラムやら投げる投げる...そんなフィッチャーを演じるJ・K・シモンズのすべてが素晴らしい。
この映画観たらいやあ当然でしょうと思いますが、彼は第87回アカデミー賞助演男優賞を獲得しています。

また町山さんがこの映画をボクシング映画と評していますが、賛同しますね。
どんなバトル映画よりもバトルしてます、肉弾戦です。
特に演奏シーンはカットを変えずにカメラを動かしてその時々の主役にスポットを当てていたり、手元や口元のアップを多用して演奏の臨場感を高めています。
カメラワークや間の使い方が素晴らしく、指揮者のフィッチャーが手を挙げ、バンドの演奏が始まるまでの10秒弱の静寂・緊張感。
そしてラストの息を飲む10分間。
このラストシーンのためだけに、もう一回映画館に行きたい。

今年公開された映画の中では一番面白いと思っています。
明日バードマン観るので、それを受けてどうなるかわかりませんが。
ジャズ好きな人やジャズ評論家からは酷評されているという話もありますが、劇中の音楽も素晴らしく、15分前にタワレコのオンラインでサントラも注文しました。
とにかく強くオススメする映画です!

2015年4月9日木曜日

ブルージャスミン (2013・米) [7.0/10]

 ものすごい久々に書きます。つまらない映画ブログですが、今後は定期的に書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。

 「マジック・イン・ムーンライト」がそろそろ公開ということで、今回は「ブルージャスミン」を。本作は2013年公開のウディ・アレン監督作品。前作の「ローマでアモーレ」はアレン本人が出演していて、アレン(俳優としての)好きとしては最高だったのだが、今作は残念ながら監督・脚本に従事しているようだ。
 ストーリーはケイト・ブランシェット演じるジャスミンという女性がサンフランシスコにいる義理の妹の家へ転がり込むところから始まる。でまあ、元夫が詐欺師で刑期中に自殺して、ジャスミンは一文無しなんだけど、でも飛行機はファーストクラスに乗ってるしバッグはヴィトンだし、といった具合で自尊心で何とか自分を保ってる感じ。ちなみにこのサンフランシスコの話と、幸せに暮らしていた過去の話が同時進行的に進んでいきます。この辺は町山さんもラジオで言ってたけど、ブルー繋がりで「ブルーバレンタイン」も似たようなテイストですね。そしてジャスミンは新たな第二の人生を始めようとするんだけど、どうしても自尊心を捨てきれずに、現実と自尊心の間のジレンマで崩壊していく姿を描いていく。でもどこか軽いタッチというかブラックコメディというか、前述の「ブルーバレンタイン」は暗くてずっしりした映画だけど、本作はあくまでアレンの映画として、コメディとして、描かれているから面白い。
 アカデミー賞主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェットの演技は圧巻。前述したどこか軽さを感じさせる一つの要因は、アレンの意図を彼女がしっかり演技に落とし込んでいるからだと思う。要所要所にアレンっぽさが滲み出ているシーンもあったり(惚れた腫れたはやっぱりお家芸)して、楽しく観れる一本。