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2013年6月20日木曜日

愛のむきだし (2009・日) [8.5/10]

園子温監督による2009年の映画。
最初に言ってしまうとこの映画は本当に最高です。
久々に最高な映画に出会えた!これこそ人生ってやつだ!と心から思った作品。
ここ最近まで園監督の映画をまともに観たことがなかったのがお恥ずかしい限り。
この映画は各界から絶賛を浴び日本の多くの賞、またベルリン映画祭でも賞を獲得している。
テーマはずばり愛と勃起。
上映時間は237分で5つのChapterに分かれている。
Chapter1は主人公ユウの生い立ちが軸になっている。
彼の母が幼い頃に病死し、その後神父となった父のもとにカオリという女が近寄ってくるが、彼女に逃げられたあとの父テツは心を病み、ユウに毎日罪の懺悔を求める。
しかし小心者のユウは告白する罪も無く途方に暮れ、自ら罪を作る日々を送り始める。
そんな中彼は成り行きで盗撮の修行を受け、それをテツに罪として懺悔する。
今までどんな罪も許していたテツだったが今回ばかりは怒りを露にする。
ユウはその怒りを父からの愛と感じ、その愛を求め更に盗撮に没頭していく。
それと同時にどれだけ女性のパンチラを写真に収めても性的興奮をすることのなかったユウだが、ある日道端で出くわしたヨーコという女性のパンチラを見て初めて勃起し、彼女に恋をする。
この辺りでタイトルがバン!と出るのだがこの時点でもう1時間経過してます。
Chapter2はこの映画では悪魔的な役割となるコイケという登場人物が主役。
彼女はゼロ教会という新興宗教団体の右腕で、この街で大きな信頼を得ているテツを取り込み、そのまま多くの信者を囲い込もうという陰謀を企てる。
彼女の生い立ちも悲惨で父からの性的虐待から殺人を犯し、少年院から出てきた後ゼロ教会の教祖に拾われ現在に至る。
僕は個人的にこのコイケが一番好きです。
とにかくむきだしな感じがしますこの人は。
Chapter3はヒロイン役のヨーコにスポットが当てられている。
ヨーコも悲惨な生い立ちで世の男は全員敵だと思っている。
一通りヨーコの現在に至るまでが描かれてやっとユウとヨーコの出会いのシーンに戻り、2人は恋に落ちる。
ここで厄介なのがヨーコが恋をした相手はユウではなく、そのとき罰ゲームでたまたまユウがしていた女装(サソリ)であるということ。
そしてChapter4のタイトルはサソリで、このままクライマックスまで話は進んでいく。
この頃テツのもとにカオリは戻ってきており結婚を考えているが、ヨーコはカオリの連れ子でありユウとヨーコは兄妹となる。
だがヨーコはユウに対して嫌悪感を剥き出しにしておりユウ(=サソリ)は困惑する。
その後一気に事態を進展させたいコイケが学校に転入してきて、自分がサソリと名乗り出たり、ユウの盗撮を皆にバラしたりとどんどんユウの居場所を奪っていく。
ついにはユウの家族にも溶け込み、盗撮の件で家族にもヨーコにも軽蔑されたユウが家を出ていっている間に家族丸ごとゼロ教会へと取り込んでしまう。
その事実を知ったユウはゼロ教会へと近づき、ヨーコを連れ戻す為に単身激しい戦いに身を投じていく...といったのが大まかな内容。
そしてChapter最終章で最高のクライマックスを迎えるといった具合。
ストーリー説明にかなりの行数を割いてしまったが、それだけこの映画には多くの要素が詰まっている。
シネマハスラーで宇多丸師匠がこの映画を"余白のない映画"と言っていたがまさにその通り。
でもストーリーを読んで頂いた方はわかるように決して重々しいって感じじゃないので、かなりサラッと4時間観れてしまうと思う。
ちなみにDVDは上巻・下巻に分かれているが、鑑賞する際は是非上下一気に4時間観てほしい。
きっと観終わる頃には涙していると思います。
最後のChapterはこんなにも切ないことが起こっていいのかってくらい胸が張り裂けそうな切なさに襲われると思います。
西島隆弘、満島ヒカリを始め出ている俳優人も素晴らしいし、ゆらゆら帝国の音楽も最高だね。
随所で見られる肉薄するようなカメラ回しもすごく好きです。
また最後まで勃起がキーになってるところも最高です。
絶対に観て損をする映画じゃないので時間がある方は是非ご覧になってみてください!

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