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2013年6月25日火曜日

冷たい熱帯魚 (2010・日) [7.0/10]

2010年の園子温監督の映画。
"愛のむきだし"、"ちゃんと伝える"ときてこれかって感じもするけど、1993年に埼玉県熊谷市で起こった連続殺人事件を元にした猛烈なサスペンス。
一応R18+指定でグロテスクな描写が苦手な方は鑑賞を控えたほうがいいかもしれません。
内容はある熱帯魚屋を営む社本という男が主人公。
社本の娘がある日スーパーで万引きを犯すが、店長と親しい村田という男の懇意でその場は丸く収まる。
仮の出来た社本は口が上手く少し強引な村田の誘いを断れず、彼との関係を密にしていく。
だがそれが地獄への入口だった...といった感じ。
この村田という男は詐欺まがいのやり口で熱帯魚を破格の値段で売りつけるといったビジネスをしているが、実際の事件では犬を使ったビジネスで、ペットショップが劇中では熱帯魚屋に置き換えられている。
また村田はビジネスで面倒が起こると顧客を「透明にする」と言って次々に殺してしまうのだが、その殺しの手法から遺体の処理に至るまで実際の愛犬家殺人事件のやり方と酷似している。
個人的にはここまで再現しちゃっていいの?って感じもしますが。
劇中だと「まぁ落ち着けよ。」とか言って謎の栄養ドリンクを提供し強要することなく巧く飲ませ毒殺、その後社本に車を運転させ謎の山小屋に移動、そこの風呂場で村田と村田の妻が手慣れた手付きで遺体をブロックサイズにカットしていき骨と肉を分別、その後骨は醤油をかけて焼却しその灰は山道に散布、肉は川に捨て魚に食べさせ遺体は完全に消滅、まさに完全犯罪。
これが村田の言う「透明にする」ってやつです。
この「透明にする」ってのも実際の事件の容疑者が口にしていた殺人哲学である。
社本に関しては実際の事件で容疑者夫婦に脅され遺体処理の手伝いをしていた山崎という人間がモデルであると思われる。
後半からこの映画独自のストーリーがどんどん展開し、加速し、痛快と思えるほど惨たらしいラストを迎えます。
グロテスクな描写が多いがもはや風呂場で遺体を裁くシーンなんかはポップにすら感じる気味の悪さ。
とにかく村田を演じるでんでんが強烈すぎて、もう恐すぎて背筋も凍るとはこのこと。
でんでんはこの映画で日本の演技各賞を受賞しています。
園監督は再編集出来るならもっと早い箇所でエンドロールにしたかったと語っていますが僕はこの終わり方好きですけどね。
この映画もそうだし"恋の罪"なんかもそうなんだけど、現段階で何が起こってるかよくわかんないし、とかいってるうちにどんどん次の展開に巻き込まれていって...果たしてこれは何処に向かってるのかっていうのがわからない面白さがあると思います。
これは観てる観客もそうだし劇中の主人公の立場に立ってみてもそうなんだけど。
横っ面殴られるような映画かもしれませんが面白いので是非ご覧になってください。
今くらいのジメっとした梅雨の時期に観るのに結構合ってるかもしれません。

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