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2013年6月10日月曜日

監督失格 (2011・日) [7.0/10]

今さら観たっていうのがお恥ずかしい限りですが、監督失格を観た。
監督は数々のドキュメンタリーAV・映画を撮ってきた平野勝之。
ちなみにプロデューサーはカラーの庵野秀明。
エヴァ好きにはお馴染みだが劇中の写真にも何度も登場します。
内容は平野監督と不倫関係にあったAV女優・林由美香、この2人の関係と彼女の死に焦点を当てたドキュメンタリー映画。
序盤から中盤にかけては1997年の撮影された「自転車不倫野宿ツアー 由美香」の撮影風景が中心、しかし物語中頃に由美香の死という衝撃の出来事が起こる。
その後5年間平野はカメラを持つことを辞める。
だが平野はこの由美香の「喪失」と闘い続け、この「監督失格」の完成で一つの区切りを迎える。
実際に観た感想は精神的に相当堪える映画であることは間違いない。
ドキュメンタリー映画であること、全てがリアルであること、そのことが持つ意味は非常に大きい。
由美香の遺体を発見するシーンもたまたま平野の助手がカメラを回しており、実際のその事件現場の様子が克明に収められている。
また平野監督がこれらの撮影材料を自ら編集し一つの映画にしていくというプロセス、その壮絶さは想像に難くない。
最後の「いっちまえ!」と叫びながら夜道を自転車で走行するシーンは目に涙を浮かべずには観られなかった。
賛否両論ある映画だとは思うが、所謂大衆映画・娯楽映画を観るだけでなく、こういった映画に触れるのもよいのではないかと思います。
一人の人間の本当の物語、それは平野監督・林由美香・ママ・カンパニー松尾それぞれにとって、その断片を作品として観るというのは普通の映画を観るのとは違う体験であることは間違いない。

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