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2013年4月22日月曜日

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド (2007・米) [8.0/10]

リンカーンが公開したのでこちらを。
ダニエル・デイ=ルイスが二度目の主演男優賞を獲得した映画で御座います。
アプトン・シンクレアの「石油!」を原作としたポール・トーマス・アンダーソンの作品。
第80回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、前述した主演男優賞と撮影賞を獲得した。
デイ=ルイス演じるダニエル・プレインビューが洞窟で採掘をしているシーンから始まる。
やがて油田を掘り当て隆興していくある時、新たな油田を探している彼の元にポールという青年がカリフォルニアで石油が地表に湧き出ている場所を知っていると訪ねてくる。
その情報に従い息子のH・Wを連れて調査へ赴き、確信を得た彼は仲間とともに採掘を始めるが、掘り当てた際に起きた爆発炎上事故でH・Wは聴覚を失ってしまう。
ダニエルはやがて息子をサンフランシスコの施設に送ってしまうが、そんな中プレインビューの弟と名乗る人物がやって来て彼と一緒に事業を進めていく。
しかし彼が弟であることは真実ではなく弟は既に亡くなっていたことが発覚し、プレインビューは彼を銃殺する。
また物語のキーマンであり、カリフォルニアにプレインビューが来て以来彼と対立してきたポールの兄で宣教師のイーライは布教のためこの町を離れる。
もうこの段階でダニエル・デイ=ルイスという俳優の素晴らしさを十二分に堪能出来るが、このあとが更に凄い。
舞台は十数年後に移り成功を収めたプレインビューは巨大な屋敷で酒に溺れた生活を送っていた。
そこへ息子のH・Wが訪ねてきて、結婚した彼は妻とメキシコへ行き起業すると告げるが、プレインビューは孤児であったH・Wとは血は繋がっていなく息子でも何でもないと彼を追い出してしまう。
その後彼の元に布教活動を終えたイーライがやって来て、経済的に困窮しているため助けて欲しいと申し出るが、プレインビューは彼を撲殺し、駆け付けた執事に"終わった"と告げるところで物語は幕を閉じる。
ちなみにThere will be bloodは旧約聖書からの引用で、"いずれ血に染まる"という意味。
自らの力で成り上がったプレインビューが没落していく様、また成功の過程で自らの野心と引き換えに他者を切り捨てて行く様が、決して派手ではない舞台とストーリーで刻々と描かれている。
そのプレインビューを演じるダニエル・デイ=ルイスの凄まじさは僕が語るにはおこがましいほど素晴らしい。
人間に内在する欲望や恐怖を体現している。
この映画の彼が与えるインパクトは観る者全員を魅了するでしょう。
余談ですがリンカーンの前作がこれだと思ってたら2年後にNINEに出てたのにビックリ。
勿論映画館に観に行ったしサントラも買ったけどすっかり忘れてました。
是非リンカーンを観たあとにこの作品をレンタルして家に帰ってほしいと思います。


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