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2013年4月15日月曜日

ゼロ・ダーク・サーティ (2012・米) [7.5/10]

ビン・ラディン殺害計画を題材にしたキャスリン・ビグローの最新作。
ジェームズ・キャメロンの元奥さんですねこの人は。
4年前のハート・ロッカーではイラクで活動する米軍爆弾処理班を描き、低予算の映画ながら第82回アカデミー賞において作品賞・監督賞含む6部門を受賞。
そして今作はビン・ラディン殺害に命を懸けるCIAアナリストのマヤを中心に、CIAがビン・ラディンを追い詰めていく様を淡々と描いている。
まず冒頭から中盤にかけてアルカイダ関係者の拷問シーンが続く。
これは後に上院議員がソニー・ピクチャーズに正式に抗議するなど大きな政治論争を巻き起こすのだが、劇中では時間を割きリアルに描かれている。
この時点で今作はアメリカ戦争系にお決まりのプロパガンダ映画ではないと感じることが出来る。
そして物語の中頃にCIAを揺るがす自爆テロが起こり、友人を失ったマヤは自分をとことん追い込みビン・ラディンを殺害することに全ての情熱を注ぐ。
ついにビン・ラディンの潜伏先を突き止めたマヤだったが、CIA長官やオバマ大統領は慎重な姿勢を見せ、時は刻一刻と過ぎていく。
いよいよ2011年5月に殺害計画は決行され、潜伏先のアジトを襲撃する。
ちなみにこの襲撃シーンはリアルタイムで描かれており、一切のBGMも無く、カメラワークも兵士達の目線が中心になっており、実際に自分がそこにいるかのような緊張感が味わえる。
この緊張感はアルゴの比ではなく、ここ最近観た映画では群を抜いていたと思います。
最終的に皆さんご存じのようにビン・ラディンは殺害され、CIAは面子を保ったことになるが、マヤの心にはぽっかり穴が開き、空虚の中涙を流すシーンで物語は幕を閉じます。
今作の特徴は脚色が派手ではなく淡々と事実の一面を積み重ねていく点。
これもまたオバマ大統領から機密情報へのアクセス権をビグローが得ていたと報じられ話題になった。
また主演のジェシカ・チャスティンの演技は文句の付けようがなく、個人的な今年の主演女優賞は今のところ彼女です。
当初は作品賞も大本命と言われていたが、種々の政治論争を巻き起こし、アカデミー会員が投票しにくい状況になってしまった為、結局音響編集賞の受賞のみになった。
同じように史実を扱った映画にアルゴがあるが、遙かに今作のほうがずっしりと重い。
全編に漂う緊張感が終盤でピークを迎え、瞬きする間も惜しむほどである。
まだ上映中の映画館もあるので是非劇場で堪能してもらいたい作品です。

http://zdt.gaga.ne.jp/

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